ーと、まぁアンクルツメ石修正の経緯をざっくりと振り返ってみましたけど、今回の最大の難関でしたね。
関:すごい大変でした。
ー何が大変でした?
関:考えるのが一番大変でした。削るっていう考え自体はすぐに浮かんだんですけど。卓上旋盤(うちにある時計旋盤よりは大きい旋盤)でダイヤモンドホイールを回して削るイメージ。問題は、アンクルの固定方法。どうやって固定するかと、どうやって角度を出すかっていうのをかなり試行錯誤しました。
ーどうしたんですか?
関:固定方法としては、アルミの板材でアンクルの入るスペースをつくって挟み込むようにして、シェラックで固定しました。その板材を3次元に角度を決められる装置に固定したうえで、ミーリング部分にアタッチしたスコープで覗き込んで入念に入念に角度を微調整して。あとは回転させたダイヤモンドホールに送りで少しずつ当てながら面を落としていきました。
ー何回説明受けてもよくわからないんですけど、それでよく角度が出せたな、と。うちの工作機械(直接時計修理に関係無いマシン)は特に先進的なハイテクマシンが揃ってるわけでもないですし。
関:がんばったでしょ?(笑)
ー素晴らしいです。なにはともあれこちらとしてもほっとしました。間違いなく一番の難関でした。あとは、他にも秒針のはかま別作だったり、針を磨いて青焼きし直したりと、色々掘り下げたい作業はありますが、それはまたの機会に。そろそろ長くなってきたので、このあたりでウォルサム懐中時計編は締めさせていただきたいと思います。お客様も大変喜んでくださったようでとても嬉しいですよね。関さん、お疲れさまでした。
関:お疲れさまでした。
ーあ、あとひとつ。もっともっとてきぱきやってくれないと、時間ばっかりかかってたらただただ大赤字ですからね。
関:わかってるよ!最後にそれいる!?
※※※お断り※※※
今回の修理内容は、ウオッチラボにとって特殊な事例が含まれております。
とくにアンティークものなど、パーツの入手が困難なものなどは、あらかじめお客様に作業進行しても途中でトラブル等が発生した場合、その段階で修理不可・返却となる可能性がある旨を伝えて、それをご了承していただける場合のみお修理をお受けさせていただいております。
また、お客様の大切なお時計を預かる以上軽率な作業をするわけにもいかず、弊社にとって挑戦的といえる作業を行うさいは、検討に検討を重ね、別で作業等を試みてからというふうに、ある程度のゴールまでの道筋が見えてから、実作業にうつります。ウオッチラボでお預かりさせていただいたお時計は、当たり前ではありますがプロとしての作業、プロとしての責任をもって丁寧に誠実にご対応させていただきます。逆に残念ながらプロとしての責任を果たせないと判断するお時計は、丁重にお断りさせていただくこともあるかと思います。
最後に。
このLABOLOGはとりあえず何かしら発信していこうという漠然とした弊社の流れの一環(去年10月よりインスタグラムも開始しておりますのでよければごらんくださいませ。)で、特にテーマや意図を設けずに、おふざけ要素を盛り込んで私、清が好き勝手書かしていただいておりますが、弊社ウオッチラボはいたって真面目な時計修理専門会社ですので、誤解のないようどうかよろしくお願いいたします。
Kommentarer